《世界樹の迷宮W 攻略日記》
第T章 第X話「小さな果樹林」
ここから製品版の内容だよっ
またメタなことを…
《風馳ノ草原》 皇帝の月の19日
うーん、風が気持ちいいねえ
これから行く小迷宮ってどんなところなのかな?
見つけてはいたけど、入れなかったのよね
あいにく、情報は多くないの
ただ、名前は《小さな果樹林》というらしいわ
果樹林、ちゅうことは果物でも採れるんやろか
…くふふ、金のなる木があるとえぇなあ
こっちはこっちで…
場所は、《碧照ノ樹海》の西にある大岩の陰だったわね
…見えてきたわ、着陸しましょう
《小迷宮・小さな果樹林》
…どこが果樹林やねん
見た目的には、《森の廃鉱》や《碧照ノ樹海》と大差ないわね…
ま、どこかに採取ポイントくらいあるわよ
とりあえず進んでみましょう
!
前から誰か来るよ!
(ササッ)
男と見るやすぐさま隠れるとは…
しかもだんだん隠れかたが器用になっとるな
小動物のような素早さやったわ
AGIに補正でもかかっとるん?
…カナ、隠れるのは構わないから場所を選んでもらえる?
あたしの服の中はやめて頂戴
もぐるときに裾がめくれるし…
じゃあこっちに
私の盾の陰に…
いえ、仲間を盾で守るのが私の役目だから別にいいけれど
こいつら、タルシスの兵士だよな
こんなとこで何してんだ?
行っちゃった…
仔鹿、ね…
わざわざ「うろついている」というからにはFOEかしら?
でしょうね
あら、ベリル
めずらしく戦いたいとか言わないのね
弱い魔物には興味ねーよ
もちろん、向こうからかかってくるなら反撃するし、
狩って食べるとかそういうことなら手伝うけどな
食べるって…
でも、仔牛や若鳥も肉が軟らかくて美味しいって言うよね
ベリルさん食べたい?
あたいはボリューム重視だから、《タルシス水牛》でいいよ
あらあら
…それじゃあ、今回もFOEは避ける方向でいいのね?
…やけど、狩れば素材が手に入るんとちゃうん?
そうかもしれないけど…
嫌な予感がするのよ
何が起こってもおかしくないのが迷宮だもの
「君子、危うきに近寄らず」やな
まあええわ
狩って大金が手に入るのが確定しとるわけでもないしな
ひとまず地図を埋めるちゅうんはどうや?
そうしましょう
…慎重に、地図を埋めていくのね
このあたりに出現する魔物は、
《森ネズミ》、《シンリンチョウ》、《荒くれ狒狒》に《森林カエル》ね
新顔は《森林カエル》やな
《脚縛り》攻撃の《ねばつく舌》を使ってくるのが特徴や
《脚縛り》状態は縛られた人が逃走不可、
さらに回避不能で脚技も使えなくなっちゃうよ
それに、あの舌はねばねばしてて気持ち悪いよね
そういう割には冷静に叩き潰してたよな
カエルは平気なのか?
得意じゃないけど、虫よりは…
カエルって虫を食べてくれるし
でも、《森林カエル》はさほど脅威にならないわね
攻撃力もそれほど高くないし、硬くもない…
脚を縛られても、冷静に殲滅すれば済む話だものね
そして、問題のFOEだけど…
かわいい小鹿だよねっ
向こうからも襲い掛かってこないし、
縄張りを巡回しながら餌を探しているみたいだよ
採取ポイントに到達すると、立ち止まって草を食べるみたいやな
数ターンそのままやから背後を取るのも容易や
…なあ、やっぱり見逃すん?
考えてみてよ
このFOEがほんとうに弱いなら、迷宮で生き延びられると思う?
確かにそうね…
見た目通りに弱いとは限らないわね
あるいは、襲われずに済むような外的要因があるとか…
ガイテキヨウイン?
親鹿、やな
強力な親FOEが仔鹿を庇護してるとしたら、
うかつに手ぇ出すんは危険かもしれん
強力な魔物か!そっちは気になるな!
戦わないわよ
必要性もないのに危ない橋を渡ることはないわ
ちぇっ
…あ、地図が完成したよ
これでこの小迷宮は踏破だね
劇的なことはなかったわね
あと、何か起こるとすればFOEだけれど…
今は、そっとしておきましょうか
ええ
さあみんな、気球艇まで戻るわよ
へいへーい
けどよ、ちょっとくらいスリルがあってもいいじゃねえか
あたいら冒険者なんだからよ
…大丈夫
嫌でもスリルは味わうことになるわ
そのうち、ね
…?
…っ!
みんなストップや!
血の匂いがする!!
…
血の匂いって、魔物どうしの戦いじゃなくて?
量が尋常やあらへん!
それにこれは…
みんな!あの角…
血だまりができてるわ
それに…あれ、人間の腕よね…
もしかして、さっきの兵士の人たちかな!?
行ってみよう!
まだ生きてる人がいるかもしれないよ!
…そうね
でも、警戒を怠らないで
周囲全方向に気を使うのよ
了解だ
うッ…!
これは…もうアカンな…
………
《戦闘不能》ならともかく、こんなの…
メディックの医術で人は生き返らせられないよ
…ごめんなさい…
…これ、顔が半分潰されてるけど、
あの彼よね…
さっき会ったときはあんなに元気そうだったのに…
ずいぶんと逃げ回ったようね
この踏み荒らされた下草といい、
…この痕跡といい、おそらく鹿の魔物にやられたのね
大きさからすると、仔鹿のものではなさそうだけど
ということは、親鹿か…
…あたいたちも、仔鹿に手を出してたらこうなってたのか?
どうかしら…
相手の力量が解らないから何とも…
ただ…絶対に大丈夫だった、とはとても言えないわね
………
死者にしてやれることは黙祷くらいか…
これだけの数の遺体を持ち帰るのも、埋葬するのもちょっと無理やし…
せめて、タルシスに戻って報告してあげましょう
みんな、今日は引き上げるわよ
ええ…
………
これが迷宮、なんだね…
つづく…
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